モードジャズの傑作!Now He Sings...

ジャケット写真

「Now He Sings, Now He Sobs」はチックコリア28歳の時の作品。ピアノトリオです。

 

「今、彼は歌い、また今度はすすり泣く」という意味不明なタイトルは、中国の古典の一節から取られたものだそうです。

 

当時はビートルズがインド音楽にハマるなど、欧米アーティストの東洋文化への傾倒が流行していました。

 

このアルバムの音楽は、それまでのジャズとか、一般のポピュラー音楽とまったく違う響きを持っています。

 

マイルス・デイヴィスが確立したモードという手法の音楽に属し、普通の音楽では「はずれてる」とされる音列に突入して戻ったりを繰り返しますが、それがまたカッコいい。

 

和音は4度重ねという手法がメインで、これも3度重ねが基本の普通の音楽と響きが異なる理由です。

 

とにかく、普通のジャズみたいに「ドゥビドゥバ〜」とかアドリブを口まねするのは、ほぼ不可能です。

 

そんな難しい音使いをしてるのですが、カッコよさは理屈抜きに伝わってきます。

 

演奏はスリルとスピード感に富んでいて、ハードロックにハマっていた10代で初めて聞いた時は、わけもわからず虜になっていました。

 

高い技術と透明な音質

楽譜

 

管理人は多少ピアノを弾くので、このアルバムの全曲コピー譜(輸入盤)を手に入れて、「Matrix」と「Now He Sings Now He Sobs」の2曲を弾いてみたことがあります。

 

どんなにがんばってもオリジナルの60%くらいのスピードでしか弾けなかったし、もちろんあんな的確で鋭いリズムや、他の人と全然違う透明な音質はまったく再現できなかった。(当たり前です(-_-;))

 

でも弾いてみて、使われている音の詳細がわかるとすごく満足感がありました。

 

自分の手で鳴らしてみて「すごいなあ!」というのと、「どこからこんなアイデアが出てくるのか、さっぱりわからない」という気持ちのミックスでした。

 

ベースのヴィトウスもすごい!

このアルバムでベースを弾いているのは、ミロスラフ・ヴィトウスというチェコスロバキア人です。(昔、チェコとスロバキアはひとつの国でした)

 

このベース、マイルスの「ソー・ファット」や「マイルス・トーンズ」などのモードジャズの有名曲を弾きこなすプロのベーシストでも「わけがわからない」という人が多いです。

 

それは「音楽としておかしい」という意味ではなく、「コピーも難しいし、コピーしても同じ雰囲気で弾くコツがつかめそうにない」という意味です。

 

理論で簡単に説明できそうにないし、直観でマネるのもむずかしいけど、めっちゃくちゃカッコいい!−−そんな唯一無二のベースラインなんですね。

 

ラストのフリージャズ風の曲もカッコいい!

オリジナル収録の最後の曲「The Law of Falling and Catch Up」は、フリージャズ風というか、現代音楽風です。

 

安定したリズムやコード進行がなく、3人で即興的に音を出し合っています。

 

ノイズをならしたり、ピアノの弦を指でかき鳴らしたりもします。

 

管理人ははっきり言って、フリージャズや現代音楽が嫌いです。(好きな人、ごめんなさい)

 

構成感がない、もしくはあっても簡単に感じられないような音楽は私には退屈なんです。

 

でもこの曲は、すごく構成感が感じられます。ドラマティックですらあります。

 

まったくの即興ではなく、大きなシナリオはあったのかもしれません。

 

フリージャズ系の曲の中で唯一好きな曲がこの曲なんです。


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管理人が昔、使った楽譜(上の写真)と同じものです。

 

  • Steps
  • What Was
  • Matrix
  • Now He Sings, Now He Sobs
  • Now He Beats Drum, Now He Stops

 

以上の5曲がフルコピーで収録されています。

 

採譜者はBill Dobbinsで、とても正確で信頼できます。